助田徹臣 写真作家|インタビュー
弱冠20歳でグランプリ受賞! 独特の世界観を漂わせる写真作家
助田徹臣さんは一年前、一坪のスペースになんと本物の畳2枚を展示し、自分の部屋で写真を広げて見ているような空間を作り出しました。 飯沢耕太郎さんは「写真も良かったし、何より可能性を感じる」、後藤繁雄さんも「被写体の先にあるものをつかみたいという視線にスケールの大きさを感じた」と二人とも好印象。宮本隆司さんは「畳の展示の印象が強すぎて写真が薄まってしまった」としながらも、議論の末には票を投じ、見事グランプリを射止めました。 スナップのようで実は緻密に画面を構成しているという助田さん。モデルの彼女に自己を写し出そうとしている助田さんの作品の秘密に迫りました。
写真を始めたきっかけ
家には両親が集めたアングラ系の雑誌とか漫画が家中にあって、子供の頃から自然にそういうのを見ていました。中学の頃、会田誠さんが好きで、こういう人になろうと思って美術系の高校に入ったんです。彫刻を専攻してたんですけど、ある意味やりつくされている気がしてた。ちょうどその頃写真展によく行くようになって、写真は歴史が浅い分、写真でしかできないことがまだたくさんあると思ったんです。デッサンもあまりうまくないし、でも平面で自分を表現したいという時に、写真を使うようになったんです。写真の授業はないから自己流です。高校の近くだった多摩美の教授にカラープリントを見てもらったり、いろんな人に見せに行きました。漫画家のシナリオアシスタントもやったりしてたから、学校は出席日数も足りないし、成績も悪いし、卒業は大変でしたね。
彼女しか撮らない
高校2年の時に、今のモデルの彼女に出会いました。それまでは風景とか物とかに自己投影した作品を撮っていたんです。最初に彼女と出会った時に、自分そっくりだと思った。性格や考え方も似ていて、心の中にもやもやみたいなものがあって、自分と同じものを持っていた。この時彼女しか撮らないと決めたんです。自分を物に置き換えて撮っても、それを見る人に共感してもらうのは難しい。でも一人の人間に自分を当てはめて、その作業をずっと続けていけばそれができるんじゃないかと思った。そのために、彼女をいろんな美術館とかに連れて行って、好きな作品を見せて、僕が求めているものを分かってもらったりもした。彼女もただ撮られているだけじゃなくて、彼女にとっても自己表現の場になっているんだと思うんです。
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映画や漫画を作る感覚
作品は映画とか漫画を作っているような感覚で作っています。自分の記憶が基になってストーリーが浮かんで、その場面場面を写真に起こして撮っている感じ。漫画のカット割りのようなものかな。登場人物は自分で、それを彼女が演じている。こういうのは写真だからできることだと思う。すべてが演出写真です。スナップはほとんど撮らない。部屋の写真を撮るときもテレビも仕込んで、全部構成しているんです。「メイドインバイバイ」は大きなストーリーの一部分で、「過去を思い出して」「全部過去の記憶から始まる」っていうシーンなんです。このストーリーはこの先も撮っていきたいし、終わりもまだ見えていないんです。
今はフリーのカメラマンとして、雑誌や本の仕事をしてなんとか食べてます。高校卒業後は大学とかに行かずに、すぐに仕事に就いたんです。大学とかって人脈作りと、好きなことを勉強するのと、モラトリアムの期間かなって。それなら行かなくてもできるし、やりたいことはもう決まっていたから。目標は「自分の作品」をより多くの人に観てもらって、そして自分の作品を売ったお金でちゃんと暮らせるようになることですね。
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1985年東京生まれ
2003年都立片倉高等学校造形美術コース卒業。
[受賞歴]
2005年第25回写真『ひとつぼ展』グランプリ
[個展]
2004年「紙と雨」(静岡 三島現代写真研究所)
2005年Yoshidate Exhibition vol.02助田徹臣「傘の人」(横浜 北仲WHITE 203 YOSHIDATE HOUSE)
2006年「ru-men」(横浜 BANKART Studio9)/第25回写真『ひとつぼ展』グランプリ個展(銀座 ガーディアン・ガーデン)
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